THE MODELを参考に営業組織を作ろうとしても、数人の会社では担当者を4つの部署に分けられません。結果として、概念だけが立派で、日々の集客・メール・相談は1人に戻ってしまいます。

必要なのは、人数を増やすことではなく、同じ人が担っていても仕事の目的と受け渡しを混ぜないことです。

本記事では、『THE MODEL』が示す「分業から共業」の考え方を確認したうえで、講座・スクールを提供するひとり社長や中小企業へ工程分離として翻訳します。

本シリーズでいう「ひとり社長や中小企業」は、運営する事業者の規模を示す呼称です。BtoBとBtoCは購入者の目的で分かれ、個人事業主が事業改善のために購入する講座や支援はBtoBとして扱います。

THE MODELとは、部門を増やすためだけの型ではありません

福田康隆著『THE MODEL』(翔泳社)は、マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスといった役割を顧客の流れに沿って捉える営業モデルを解説した書籍です。翔泳社の書籍案内でも、主題は「分業から共業」であると示されています。

したがって、原著を「部署を分ければ売上が伸びる」という話に縮めるのは正確ではありません。役割が異なる人や部署が、同じ顧客理解と受け渡し条件を持ち、全体として価値を届けることに意味があります。

ここから先は、その考え方を踏まえた弊社の提案として、ひとり社長や中小企業の事業で工程をどう扱うかを説明します。

顧客の購入目的に合わせて、工程を置き直します

法人か個人事業主かは、事業を運営する側の形態です。BtoBかBtoCかは、顧客が何のために購入するかで決まります。個人事業主が事業改善のために講座やコンサルティングを購入する場合はBtoBであり、生活や趣味のために個人が購入する場合はBtoCです。

そのため、ひとり社長や中小企業の工程設計では、相手が組織内で検討するのか、本人が事業上または個人として判断するのかを確かめます。講座、スクール、コンサルティング、教室などは、購入目的によって検討の流れが変わります。

そのため本記事では、固有の4部門をそのまま当てはめません。商品・顧客設計から継続・紹介までを、顧客の次の判断に合わせて7つに分けます。

翻訳時に見る差分は4つです。誰が購入を決めるか、検討期間、個別対応が採算に合うか、購入後に何を成果として確かめるかを見極めます。

本記事の工程 顧客が進める判断 事業側の主な仕事
商品・顧客設計 自分に関係があるか 誰の、どの変化を支えるかを決める
集客 さらに知る価値があるか 発信・広告・紹介の入口を整える
リスト化 連絡を受け取るか 資料・診断・登録の約束を明確にする
教育 課題と選択肢を理解できるか 記事・資料・メールで判断材料を届ける
商談化 個別に話す意味があるか 質問を受け、状況を整理する
提案・成約 自分に合うか 適合条件と提供内容を確認する
継続・紹介 続ける・人に勧める価値があるか 利用後の成果確認と関係を設計する

この7工程は一般的な唯一の定義ではなく、ひとり社長や中小企業の事業で売上導線を管理するための運用上の地図です。全体の前提は、ひとり社長や中小企業のマーケティングファネル|7工程で売上導線を設計で詳しく解説しています。

部署分業ではなく、工程分離を先に行います

ひとり社長や中小企業では、代表者がSNS投稿、資料作成、相談、受講後の対応まで担うことがあります。この状態で無理に部署名を付けても、仕事の優先順位は整いません。

本記事の提案は、担当者ではなく工程を分けることです。同じ人が実行する場合でも、「今は集客の仕事か」「今は教育の仕事か」「商談化の判断か」を記録上で区別します。

例えば、資料請求直後に個別相談を案内するメールは、集客ではなく教育または商談化の仕事です。そこで確認すべきなのは送信本数ではなく、読者が相談の目的と準備を理解できたかです。

相談前に何を届けるかは、リードナーチャリングとは|ひとり社長や中小企業で見込み客の判断を支える教育設計で扱っています。工程を分ければ、メール施策の成果も「開封されたか」だけで終わらず、次の判断を支えたかで見られます。

共業を成立させる受け渡し条件を決めます

工程を分けるだけでは、顧客情報が途切れます。共業にするためには、前工程が何を残し、次工程が何を引き受けるかを決めます。

ひとり社長や中小企業の事業で最初にそろえるのは、複雑なツールではなく次の4項目です。

  1. 開始条件:いつ、その工程を始めるか。
  2. 記録する文脈:どの記事、紹介、資料から来たか。
  3. 完了条件:顧客が何を理解または選択できたら次へ渡すか。
  4. 例外条件:連絡を望まない、対象外、判断保留をどう扱うか。

想定ケースとして、SNSから「講座の価格が知りたい」と問い合わせた人を考えます。まず価格と条件へ直接回答し、集客工程では入口と質問を記録します。そのうえで、比較に必要な提供内容・向く条件・比較軸を届け、個別に状況を話す必要があるかを本人が選べる状態にします。

このように受け渡すと、同じ担当者が対応しても「問い合わせが来たからすぐ売る」流れになりません。顧客がどこで判断を止めたかを、次の担当者、あるいは翌週の自分が理解できます。

KPIは工程をつなぐ共通言語です

THE MODELをひとり社長や中小企業の実務へ翻訳する際、KPIを各部署のノルマにすると、共業から遠ざかります。本記事の提案では、KPIは工程間の受け渡しが機能しているかを確かめる共通言語です。

たとえば、登録数が増えたのに相談が増えない場合、集客担当だけの問題とは言えません。登録時の約束、教育内容、相談への移行条件を横断して見ます。

率を比較する際は、分子・分母、期間、同じ時期に入った人の集団であるコホートをそろえます。未計測を0件にせず、計測不能として残すことも必要です。具体的なKPI設計は、マーケティング・営業KPIの全体像|ひとり社長や中小企業の詰まりを見つける設計を参照してください。

先に作るのは組織図ではなく、1枚の工程表です

最初の1週間で、各工程に1つずつ「次へ進んだ行動」を置きます。たとえば、リスト化なら登録完了、教育なら診断結果を読んで質問できる状態、商談化なら相談目的を選んだ状態と定めます。

次に、各行動の入口と記録場所を決めます。表計算、フォーム、予約システムなど、今使える道具で足ります。ツールを増やす前に、同じ人を別々に数えないこと、取得経路を失わないことを優先します。

最後に週1回、詰まりが大きい工程を1つだけ選びます。全工程を同時に最適化しようとせず、仮説と変更内容を残せば、個人依存の作業も再現可能な共業へ近づきます。

よくある質問

Q1. 1人で運営していてもTHE MODELは使えますか

使えます。ただし、部署名を再現するのではなく、工程ごとの目的、受け渡し条件、記録、KPIを分けます。同じ人が担当していても、前工程の情報を次工程へ持ち越せます。

Q2. 個別相談がない商品にも使えますか

使えます。個別営業を行わない商品では、商談化工程を無理に置かず、教育と提案・成約の工程を統合または省略します。その代わり、比較ページ、体験申込、購入前質問などで、購入前の判断材料をどう届けるかを設計してください。

Q3. まずCRMやMAを導入すべきですか

先に工程と記録項目を決めます。受け渡し条件が曖昧なまま導入すると、データが増えても次の判断が決まりません。現在の表やフォームで記録を試し、繰り返す作業が見えてから道具を選びます。

まとめ

THE MODELの価値は、部署名を模倣することではありません。異なる役割が顧客の文脈を共有し、分業から共業へ進むための考え方にあります。

ひとり社長や中小企業の事業では、まず商品・集客・リスト化・教育・商談化・成約・継続を工程として分け、開始・完了・記録の条件をそろえます。自社のどの工程から設計すべきかを確認したい場合は、記事右側のLM01「ビジネス構造診断チェックリスト」を活用してください。

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